昨年９月12日（金）、約1ヶ月をかけて改装していた『アテスウェイ』（à tes souhaits!）がリニューアルオープンした。同店は平日400名、土日には600名が来店する都内で屈指の人気パティスリー。コンセプトは「シンプル＆モダン」そして何よりスタッフの働きやすさを考えての全面的な改装となった。

「包装台、レジ、ショーケースの配置が悪く、週末や繁忙期にはカフェを閉めてもスタッフが動き難く、お客様の買い物の流れも悪かったので、カフェを無くし、スタッフの動線を確保して、店のコンセプト（シンプルでモダン）を変えずに、クオリティを上げたいというのが希望でした。そして、お願いするなら一流の人に頼んで、その人の仕事や感性に触れてみたいという思いもあり、内外で活躍する著名な方にデザインを依頼しました」と川村氏。

そして川村氏は、今回そのデザイナーが提案した“タイムレス”という言葉にインスピレーションを得て、改装中に渡仏。オペラやエクレア、ババなどを改めて美味しいと感じ、自分の中で“伝統と革新”がテーマになったという。

「今までは常に新しいものを追っていたところがありましたが、伝統の無いところに革新は生まれないし、伝統に固執していても取り残されてしまう。この二つを伴っていないと良い菓子作りが出来ないと思い、オーソドックスなお菓子を自分なりにアレンジしたものを増やしました。2001年のオープン以来、売り上げが落ちた年はありませんが、いつも危機感を持っています。危機感が無ければ店は成り立たないし、良い菓子も生まれない。そうでなければリニューアルもしないし、僕がアンテナを張っていつも刺激を求めているのはその為でもあるので、これからも満足することはありません。リニューアル後、お客様は増えましたが、厨房が狭いとクオリティが保てなくなります。スタッフのモチベーションを上げ、売りやすい環境のためにリニューアルしましたが、今度は作りやすい環境を整えたいと考えています。」