2022-03-14
新刊 吉田菊次郎著 万国お菓子物語 世界をめぐる101話
~愛とロマン、政治に宗教に戦争まで、頬っぺたも落ちる!? 読むスイーツ~
当工業会常任理事で、株式会社ブールミッシュの会長、吉田菊次郎氏による本書は、1998年に晶文社から上梓された『万国お菓子物語』を文庫化したもの。文庫化に際しては、新たに9話を追加するなどの加筆がされている。
本書では、『甘さのかげに歴史あり。愛とロマン、政治に宗教、文化の結晶』として、世界のスイーツ101の誕生秘話が綴られている。
すっかり日本でも定着した「マカロン」の原形は、数あるお菓子の中でもかなり古典的な部類に数えられ、中世ヨーロッパで、イタリア・フィレンツェの名家メディチ家のカトリーヌ姫が嫁ぐ時に帯同した菓子職人の手によってフランスにもたらされたのを切っ掛けに、フランス各地で作られるようになり、それぞれの地で銘菓として評価されて行き、17~18世紀には各地の修道院で作られるマカロンが有名になったという。
この他、参拝記念として配られた「レープクーヘン」(ドイツ)や、名称をめぐって裁判にまで発展した「ザッハートルテ」(オーストリア)、また大航海時代、ポルトガルからはるばる日本までやってきた「カステーラ」など南蛮菓子の数々や、日本特有の「ショートケーキ」、「お汁粉」等など。
2022-03-14
新刊 オーボンヴュータン 河田勝彦の思い出菓子
~18の物語と、19のルセット~
1981年に東京・尾山台に店を構え、昨年(2021年)開業40年を迎えた「オーボンヴュータン」(当工業会組合員)。本書は、渡仏から50年以上の歳月を経て、日本に於けるフランス菓子界の重鎮、河田勝彦氏が、自身の「オーボンヴュータン」(古き良き時代、思い出の時の意)をルセット共に語ったもの。
「僕にとっての“Au Bon Vieux Temps”はフランスで過ごした約8年の日々。1970年前後の変革の時代の中で沢山の衝撃を受け、いろいろな出来事や人に遭遇し、がむしゃらに働き、とことん思い悩みながらずっと菓子づくりをしてきました。それらの経験から得たものは、全て僕にとってはかけがえのないものであり、半世紀近く経とうとしている今でも変わることなく僕のなかにあって、ずっと生き続けています」(本書前書きより)。
本書では、「アリ・ババ」(パリで出会った匂いの記憶)、パティシエ人生を変えるほど衝撃を受けたと言う「カヌレ」、軽やかな味わいに驚きを覚えた「サントノーレ」など、18の物語と19品のルセットを豊富なプロセス写真と共に紹介。
物語に登場するのは日本とフランスの修業時代、地方を巡ったフランスでの旅、帰国から現在と、今なおフランス菓子に魅了されていると語る河田シェフが、パティシエとして駆け抜けてきたそれぞれの時代を彩る思い出深い菓子たちだ。
2022-02-11
新刊 藤井雅人著
仲卸人が教える 本当においしい野菜・果物の見分け方
製菓の材料としてフルーツは欠かせないものであり、最近では国産フルーツを積極的に活用する店舗も増えている。
本書は、青果の仲卸人である著者が日本全国1000以上の生産者とのつながりをもとに、八百屋や大手スーパーなどの青果販売店から毎日注文を受け、その時期に一番の旬の青果を納めてきた経験をもとに、50品目以上の青果についての基礎知識や品種、産地、色、形、旬の時期などをもとにおいしさの目利きポイントを余すことなく紹介したもの。
イラストもあり分かり易く解説しているので、基礎知識や野菜・果物の見分け方を知るための第一歩として適している。
2022-02-11
新刊 Sunday Bake Shop 嶋崎かづこ 著
サンデーベイクショップの一年 季節のくだものでつくる焼き菓子
焼き菓子専門店の草分け的存在の「サンデーベイクショップ」(東京・初台、幡ヶ谷)。店内の長いカウンターには、トレイベイク、ブラウニー、ブロンディ(ホワイトチョコレートのブラウニー)、ビクトリアスポンジ、パウンドケーキなどの焼き菓子が積まれ、大勢のファン(客)で賑わっている。季節の果物の果汁がしみてどっしりと重みを増したバターケーキ生地、口の中でホロホロとほどけるショートブレッド生地など、独特の食感と特別な味わいは、一度食べたら忘れられないおいしさだ。
本書では、季節の果物を使った人気の焼き菓子の作り方を一年間に亘って撮影。生地づくりのコツをあますところなくしっかりと伝えている。
2022-01-10
新刊 パネットーネとパンドーロ
~ドンク・佐藤広樹が伝えるイタリア発酵菓子の技術~
クリスマスを祝う菓子として、日本でも人気が高まりつつあるイタリア伝統菓子の「パネットーネ」と「パンドーロ」は、どちらも卵黄やバターをたっぷりと配合したリッチな発酵菓子。本書は、40年以上に亘ってイタリア発酵菓子への取り組みを続けている株式会社ドンク生産技術本部長の佐藤広樹氏が、自身の経験をもとに、イタリア発酵菓子の奥深い魅力と技術について探求したもの。
自家培養した元種(リエヴィト・マードレ)を使い、種継ぎと発酵を幾度も繰り返して作る複雑さも影響して、その製法は日本ではあまり伝えられてこなかった。本書では、1970年代から現地の製法を受け継いできた「ドンク」の技術を一挙公開。伝統的な製法から、近年主流になった現代的な製法まで余すところなく紹介している。